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第106回薬剤師国家試験 問162解説(薬理)

 

問題文

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問題文

解答

2,5

 

解答選択までの思考

1:低分子ヘパリン製剤ですね。アンチトロンビンⅢによるトロンビン阻害作用<第Xa因子阻害作用です。

3:これはアルテプラーゼの記述ですね。誤りです。

4:結合先が違いますね。プロトロンビンではなくトロンビンに結合してプロテインCの活性化を促進します。

 

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閑話休題

 追記事項

血液凝固阻止因子

プロテインC:ビタミンK依存的に肝臓で合成されて血液中に放出される凝固阻止因子です。活性型プロテインCは第Ⅴ・第Ⅷ因子の活性体を不活化します。

活性化プロテインC↑→第Ⅴa、第Ⅷa因子を限定分解↑→フィブリン生成↓

 

チカグレロル

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チカグレロルの構造式

チカグレロルはADP受容体(P2Y12)を選択的に阻害する抗血小板薬です。出血リスクのある手術(ステント抗血小板治療を除く)の3日前より当該医薬品の投与は中止します。ACSと陳旧性心筋梗塞で用量が異なるので注意が必要ですね。

経皮的冠動脈形成術(PCI)が適用される急性冠症候群(不安定狭心症、非ST上昇心筋梗塞、ST上昇心筋梗塞)(ただし、アスピリンを含む抗血小板剤2剤併用療法が適切である場合で、かつ、アスピリンと併用する他の抗血小板剤の投与が困難な場合に限る)

→用法:初回180㎎/2回目以降の維持量:90㎎、いずれも1日2回

陳旧性心筋梗塞のうち、アテローム血栓症の発現リスクが特に高い場合

65歳以上、薬物療法を必要とする糖尿病、2回以上の心筋梗塞の既往、血管造影で確認された多枝病変を有する冠動脈疾患、又は末期でない慢性の腎機能障害

→1回60㎎を1日2回

半減期:チカグレロル8.7時間、AR-C124910XX(活性代謝物)10.0時間

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チカグレロルの血中濃度変化