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雑談「低K血症の補正」

ちょっと前の話

 血清K3未満の方が入院された。もともと内服薬で経口K製剤も内服されている。腎臓内科より内服は継続し、さらに点滴のメイン+KCL1本(20mEq)で補正せよと指示をいただいたようで、『メインって、どれにしたら良いだろうか』と医師より相談を受けた。「維持液(3号)はいかがでしょうか、補液自体にもK入ってますし」と、回答した。

 その後にKの1日の投与量を計算すると経口+注射で100mEqになった。切迫早産で入院している妊婦に対し、一般同様に上限までKを入れていいんだろうかと不安になり腎臓の指導薬剤師に相談した。

 回答としては、問題ないとのことだった。経口のK製剤は吸収がはたしてどれくらいなのかがわからないし、ICUならK製剤の点滴だけで120mEq/日行くこともある。点滴の速度さえ守ってくれれば大丈夫、と。徐々に経口から点滴にKを切り替えていったり、水分制限がかかっている場合は維持液500mLにKCL2本突っ込むことも検討可とアドバイスももらった。

 すごいな、いいんだ。とはいえ、担当病棟はICUではないから100mEq/日でよしとして追加の提案は行わなかった。結局その方は子宮収縮間隔がどんどん短くなってしまって母体搬送となり、その後は見られなかったので、実際どうなったのかはわからない。覚えておきたくてメモとして記事に載せておく。

さらに雑談

 基本としてはK製剤は①濃度40mEq/L以下、②投与速度20mEq/hr以下、③1日100mEq以内で投与される。維持液にKCL(20mEq)を追加するのは国家試験では解答として不適切、場合によっては禁忌肢に該当する。薬剤師の業務はAIに変わられるとは言われるけど、こんな風に生命維持のために実臨床では良しとした後に何か問題が起きた時にAI(というより製造販売した企業)が責任取ると思えない。こういう微妙な症例とかの判断にはヒトが残されると思ってる。