はじめに
実際に私が調べ物をするときの手順
なんとなく手に取ることがありそうな医薬品で実際に調べてみる。
今回は「ロキソプロフェンナトリウム水和物を授乳婦が服薬することは可能か?」と質問を受けたことにする。
私の回答「問題ないと思われる」。
1:『妊娠と授乳』を手に取る
勤め先の病院のあちこちにある。調べるときはとりあえずこの本から読んでいる。
2:医薬品情報のページを薬剤索引で調べる
これで総合評価が「安全」であればとりあえずOKと考える。この総合評価は母乳中の薬物濃度が症例報告で示されたものをなるべくたくさん集めて検討されている。もしくは、臨床的な経験からもほぼ安全に使用できると思われるものが選ばれている。
(本に載っていないときの調べ方)
3:インタビューフォームを検索する
PMDAという医薬品の承認を担う機関が作成しているホームページを確認すると、日本で承認されている医薬品の情報を調べることができる。一般の方でも閲覧が可能。この時の注意点は、先発品のメーカーの薬を選ぶこと(ジェネリックのメーカーは動物実験等をしていないため具体的なデータを載せていないことが多い)。
そもそも「母乳を介する薬剤曝露」とは
「母親の薬の内服→乳汁移行→児の曝露」において、児の治療域まで薬が到達してしまうか、もしくはその薬が少量であっても児に対して何か有害事象が起こることが考えられるかが問題であると思われる。その薬剤を母が服薬する必要性と児のリスクを踏まえて薬を飲むかを検討しているので、最終的な決定は医師(および助産師)と母(患者本人)で相談し、納得して薬を飲んでほしいと思う。
雑談
今回この話を書いたのは、なんか一部のSNSが荒れているのを目撃したからです。実際に調べ物をする手順や考え方をお伝えしたほうがいいかと思い記事を書きました。
学会等に所属しなくても、医療従事者でなくてもネットで多くの専門的な書籍を購入することが可能です。普段通っている病院で、医師のそばにおいてある本の名前をおぼえて購入するのも一つの手段となるかもしれません。ちなみに、今回私が参考にした『妊娠と授乳』は改訂3版が発行されています。8000円(+税)で私は購入を諦めました。自分の学習用として2版の中古を1149円で手に入れました。
ネットで検索するなら、まずはPMDAのホームページをおすすめします。今回使用したインタビューフォームは添付文書を補うための資料で代謝や分泌の資料がほしくなったらここを調べています。ちなみに添付文書は裁判の根拠として使用することが可能なほどに国内においては信頼された資料です。資料は医療従事者向けで専門用語をそのまま使っていますが、一部の薬は患者向けの資材もあります。今回の医薬品もあります。
副作用の専門用語について、具体的な症状が載っていたり注意事項が載っていたりしていますので、気になる方はぜひお調べください。
(この記事を一般の人が読むとはあまり思いませんが)