医薬品回収情報クラスⅡ(R3.8.23)
- PMDAメディナビ掲載内容概略
- 回収医薬品
- 一般名
- 製造販売業者の名称
- 対象ロット、出荷時期
- 回収理由概要
- 危惧される具体的な健康被害
- 効能・効果又は用途等
- 医薬品概要
- 一般名
- 薬効分類
- 追記事項
- シクロホスファミドの使用上の注意
- 副作用と対策
- アルキル化薬について
PMDAメディナビ掲載内容概略
配信年月日R3.8.23
回収医薬品
エンドキサン錠50mg
一般名
シクロホスファミド水和物
製造販売業者の名称
塩野義製薬株式会社
対象ロット、出荷時期
7003 2019年6月~2019年10月
7004 2019年10月~2020年4月
回収理由概要
エンドキサン錠50㎎PTP100錠(製造番号7003)の安定性試験項目のうち、溶出試験が承認規格(45分間80%)に適合しない結果が得られたため。また同一錠剤ロットを製品化した製造番号7004についても併せて自主回収することなりました。
危惧される具体的な健康被害
溶出試験の結果が承認規格外となっており、吸収の遅延の可能性が考えられますが、有効成分の含量を含む他の試験結果は規格内であることから、有効性及び安全性への影響はなく、重篤な健康被害が発生する恐れはないと考えております。また、現在までに健康被害の報告は受けておりません。
効能・効果又は用途等
1)下記疾患の自覚的並びに他覚的症状の緩解
多発性骨髄腫、悪性リンパ腫(ホジキン病、リンパ肉腫、細網肉腫)、乳癌、急性白血病、真性多血症、肺癌、神経腫瘍(神経芽腫、網膜芽腫)、骨腫瘍
ただし、下記の疾患については、他の抗腫瘍剤と併用することが必要である。
慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、咽頭癌、胃癌、膵癌、肝癌、結腸癌、子宮頸癌、子宮体癌、卵巣癌、睾丸腫瘍、絨毛性疾患(絨毛癌、破壊胞状奇胎、胞状奇胎)、横紋筋肉腫、悪性黒色腫
2)治療抵抗性の下記リウマチ性疾患
全身性エリテマトーデス、全身性血管炎(顕微鏡的多発血管炎、ヴェゲナ肉芽腫症、結節性多発動脈炎、Churg-Strauss症候群、大動脈炎症候群等)、多発性筋炎/皮膚筋炎、強皮症、混合性結合組織病、及び血管炎を伴う難治性リウマチ性疾患
通常、成人にはシクロホスファミド(無水物換算)として1日50~100mgを経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。
3)ネフローゼ症候群(副腎皮質ホルモン剤による適切な治療を行っても十分な効果がみられない場合に限る。)
通常、成人にはシクロホスファミド(無水物換算)として1日50~100mgを8~12週間経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。
通常、小児にはシクロホスファミド(無水物換算)として1日2~3mg/kgを8~12週間経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減するが、通常1日100mgまでとする。原則として、総投与量は300mg/kgまでとする。
医薬品概要
一般名
シクロホスファミド水和物
薬効分類
抗悪性腫瘍薬(アルキル化剤)
追記事項
シクロホスファミドの使用上の注意
尿中のシクロホスファミドの活性代謝物(アクロレイン)に起因して出血性膀胱炎になることがあります。特に大量投与時あるいは長期内服投与時に起こりやすいです。予防法として十分量の補液と尿量確保(2L/日以上)、メスナの投与が挙げられます。
副作用と対策
・出血性膀胱炎→大量の輸液とメスナの投与。
・骨髄抑制(白血球減少)→G-CSFの併用。
・嘔気・嘔吐→大量静注では高頻度に認めるが、経口投与では少ない。
・粘膜皮膚症状→可逆性の脱毛が2~3週後にみられる。皮膚や爪は黒くなることがあるが、粘膜炎は稀。
・水分貯留(低Na血症、痙攣)→予防として利尿剤を併用。
アルキル化薬について
アルキル化薬は、毒ガスのナイトロジェンマスタードの研究から発展して開発された薬物で、構造中にアルキル基を有しています。主として腫瘍細胞のグアニン塩基のN7位をアルキル化し、DNAの生合成を阻害します。細胞周期非特異的に作用する薬剤であり、DNAの2本鎖に作用し、プリン塩基同士(G-G、G-A)を架橋(クロスリンク)することで腫瘍の増殖を停止させます。架橋によりDNAは2本鎖のまま1本鎖に分離できなくなり細胞は分裂不能になります。