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第106回薬剤師国家試験 問155解説(理論問題:薬理)

第106回薬剤師国家試験 問155解説(理論問題:薬理)

 

 

 

問題文

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問題文

 

解答

解答選択までの思考

1:バクロフェンはGABAB刺激ですね。却下です。

2:脱リン酸化を阻害してどうするおつもりで。リン酸化ミオシン軽鎖が増えたら脳血管は収縮します。なしです。

3:オザグレルはTXA2合成酵素阻害薬です。血小板凝集の抑制なので、グループ的には低用量アスピリンと同じところにいます。

4:はい矛盾来ました。α受容体を遮断しないと血流は低下します。血流を増やすには血管拡張が必要だからです。

5:急性期だけです。投与制限あります。基本2週間で終了ですので、延々と続けていないかどうか確認が必要です。

 

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休憩

追記事項

GABAA受容体

キーワードはClチャネルです。睡眠薬系の項目で目にする単語ですね。ベンゾジアゼピンプロポフォール等が化合物として挙げられます。

エダラボン

ALSに適応あります!

エダラボンは2015年より、筋萎縮性側索硬化症(ALS)の適応が追加されました。ALSの治療薬として用いる場合

第1クール:投与期(14日間連日投与)後、14日間休薬

第2クール以降:投与期(14日間中10日間投与)後、14日間休薬

 

使用上の注意

脳梗塞のすべての病型に適応はありますが、フリーラジカルは、特に虚血巣に再灌流がみられる病態で多く発生することから、特に皮質梗塞を起こしやすい心原性脳塞栓症やアテローム血栓性梗塞で有効性が高いことが予測されます。

医薬品回収情報(メサラジン錠250㎎「NP」)

医薬品回収情報クラスⅡ(R3.5.11)

 

PMDAメディナビ掲載内容概略

配信年月日R3.5.11

回収医薬品

メサラジン錠250㎎「NP」

一般名

メサラジン

製造販売業者等名称

ニプロ株式会社

対象ロット(出荷数量:箱)

18K021(1282箱),18K022(206箱)

出荷時期

18K021:2018年11月29日~2019年2月14日

18K022:2018年10月30日~2019年1月15日

回収理由概要

参考品の試験結果において、当該ロットの溶出性が承認規格に適合しない結果が得られたため。有効期限内のその他のロットについては承認規格に適合することを確認しました。

危惧される具体的な健康被害

溶出性に僅かな遅延がみられましたが、含量は規格内であることから、有効性に大きな影響はないと考えられます。これまでに本件に関連した重篤健康被害に関する報告は受けていないようです。

効能・効果又は用途等

潰瘍性大腸炎(重症を除く)、クローン病

 医薬品概要
一般名

メサラジン

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構造式

薬効分類

炎症性腸疾患(IBD)治療薬、5-ASA

追記事項

メサラジン、サラゾスルファピリジン潰瘍性大腸炎活動期の軽症~中等症例での第一選択薬です。寛解期の潰瘍性大腸炎に対する維持療法でも第一選択薬と考えられています。

サラゾスルファピリジンの有効成分が5-ASA(メサラジン)であるため、メサラジンの方がより確実な効果が少ない副作用で得られることが予想できます。

重症例の潰瘍性大腸炎においては、副腎皮質ステロイドを用いるのが一般的です。

また、消化管全体での炎症がみられるクローン病においては、メサラジンの大腸に対する局所作用では不十分であり、アダリムマブ・インフリキシマブ等の製剤を用いることも考えられます。

第106回薬剤師国家試験 問153-154解説(理論問題:薬理/病態・薬物治療)

第106回薬剤師国家試験 問153-154解説

 

問題文

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問題文

解答

問153:4 

問154:1

 

問153解答選択までの思考

ラメルテオンは名前からわかるメラトニン製剤です。だからそれ選べばいいですね。4です。終了!

問153追記事項

・ラメルテオンはメラトニン受容体アゴニストです。睡眠―覚醒リズムに働きかける薬剤であるため、向精神薬とは機序が異なる医薬品です。初回指導時に「この薬はリズムを整えるためのお薬です。そのため今日服用してすぐには効果が出るわけではありません。多くの方は2週間程度効果が出るまでにかかっています」みたいな内容を添える必要があります。

・問153に出てくるオレキシン受容体阻害薬(ベルソムラ®)や本問で問われているラメルテオン(ロゼレム®)はいずれも「不眠治療薬」ではありますが「向精神薬」に指定されている医薬品ではありません。したがって、35日処方、56日処方等の投与日数制限で引っかかる心配が無いです。お盆やお正月等の長期休暇の際に制限に引っかかりますよ!という内容の疑義紹介は不要なのでそれもまた安心ですね。実務の処方箋から疑義紹介をするための問題の選択肢として、あえて35日処方にして眠剤の日数が長すぎる的な選択肢をいれて罠にかけてきそうですよね!注意です!笑

 

問154解答選択までの思考

睡眠導入だけなんとかすればいいんでしょう?なら1で十分ですよね??

 

問154追記事項

・症例問題回答時に私が注目している内容は「年齢・性別・検査結果」です。今回であれば26歳の女性ということで妊娠の可能性があるのが注意点になります。

 20~40女性:妊娠の可能性があります。特記事項が無い場合は閉経前と仮定して薬剤選択をする必要があります。

 15歳未満:小児なのでNSAIDsに注意(基本は使わない)。あとはタクロリムス外用(プロトピック®)ですね、わざわざ小児用の規格があるので成人用の規格が出てきて×の選択肢はあってもいいかもしれません。

 65歳以上:高齢者なので、催眠薬等の医薬品の初回投与量に上限があるので注意

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休憩



おまけ

・薬剤師の国家試験では、判定が微妙な選択肢は現状出てきていません。「臨床的には使ったりする」みたいなものは国家試験としては基本出てこないので、とにかく禁忌の薬剤を選ばない・第一選択薬だけ頭に入れて行くことが大切だと思います。三次治療以降は受験生の正答率が著しく下がると思うので、合否を分ける選択肢には当てはまらないかなと思っています。

医薬品回収情報(セフェピム塩酸塩静注用1g「CMX」)

医薬品回収情報クラスⅡ(R3.5.7)

PMDAメディナビ掲載内容概略

配信年月日

R3.5.7

 

回収医薬品

セフェピム塩酸塩静注用1g「CMX」

 

一般名

セフェピム塩酸塩水和物(CFPM)

 

製造販売業者の名称

株式会社ケミックス

 

対象ロット

AV0416~AV0420

 

出荷時期

2020年09月23日~2020年11月17日

 

回収理由概要

安定性モニタリング(12か月目)のpH試験において測定値が承認規格外となったため。

 

危惧される具体的な健康被害

pHに関しては、点滴静注を行う場合、配合する輸液のpHが大きく影響する為、投与時に当該製品のpH値による影響はないものと推測されます。また、定量値、類縁物質を含めた他の試験項目は適合しております。よって重篤健康被害の恐れは低いと考えております。なお、現在までに本件に関する健康被害の報告は受けておりません。

 

効能・効果又は用途等

・一般感染症

・発熱性好中球減少症

 

医薬品概要

 

一般名

セフェピム塩酸塩水和物

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構造式

 

薬効分類

セファロスポリン系抗菌薬(第4世代)

 

セフェピム塩酸塩水和物の特徴

緑膿菌作用のある抗菌スペクトルのきわめて広いセファロスポリン系です。緑膿菌、βラクタマーゼ産生菌をはじめとした耐性度の高いグラム陰性桿菌感染症に用いることができるため、優先順位の低い切り札の薬剤です。発熱性好中球減少症の適応もあります。

 

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閑話休題

ついでに勉強するなら

・腎機能低下時の抗菌薬の選択について

抗菌薬は多くが腎排泄型であるため、腎機能をチェックして用法・用量を決定する必要があります。クレアチニンリアランス(Ccr)の簡易な推定方法としてコッククロフト・ゴールト式を覚えることをおすすめします。実務実習および国家試験の対策として有効だと考えているからです。

Ccr=(140-年齢)×体重(kg)/(72*血清クレアチニン値(mg/dL))(×0.85:女性の場合)

腎機能低下時に用量調節が必要ない薬剤はセフトリアキソン、クリンダマイシン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、アジスロマイシン、クロロマイセチン、リファンピシン、リネゾリド等が挙げられます。

第106回薬剤師国家試験 問152解説(理論問題:薬理)

 

第106回薬剤師国家試験 問152解説

 

問題文

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解答

3,5

解答選択までの思考

1:瞳孔括約筋が弛緩したら縮瞳するはずなので誤りです。

2:セビメリンといえばシェーグレンの治療薬です。M₃受容体に行かなくてどうする    の?

3:間違ったことは言ってないですね。

4:M₁受容体にかかわる薬物はピレンゼピンしか知りません(国家試験受験脳的感想です)。メペンゾラートは腸管麻痺の治療薬ですね。腸管麻痺はM受容体に作用するので誤りです。

5:Ca²⁺を遮断するとは?わからないときは保留します。

 

追記事項

ムスカリン受容体のキーワード

M₁:自律神経節

M₂:心臓

M₃:平滑筋

Achのキーワード

1.ムスカリン受容体刺激

2.腸管平滑筋収縮

3.腸管麻痺(弛緩しっぱなし)

 

解答時に意識していること

薬品名から考えて回答していくのが王道だ、とは思っています。学習時にはその方が頭に残りやすい気がします。しかし問題を解くときにはまず問題文中に矛盾が生じていないかを見るようにしています。その方が安定して得点できてしまうからです。国家試験の問題は、正解の文については卒業研究等で学習していない限り完全に初見の文章が混ざります。下手したら一文丸ごと知らない情報です。一問一答みたいに暗記するのが苦手な場合は割り切って問題文中の間違いの部分に線を引いて手痛い失点を避けるようにするのも戦略だと思っています。

本問でいえば選択肢1が該当しています。これはどの医薬品を当てはめたとしても必ず誤りの文章です。省けるとおいしいですね。選択肢2のセビメリンは適応症が珍しい医薬品です。口腔乾燥症状に対して用いる医薬品なので、コリン作動薬になるはずです。M₂といえばまず心臓なので、やっぱりこれも選べない選択肢となります。

選択肢5のCa²⁺イオンチャネルの遮断についてですが、Ca²⁺の細胞内流入を抑制することで平滑筋の収縮を抑制する効果があるということをたった今知りました。invitro試験の結果だそうです。へー。

医薬品情報(オルミエント)

 

承認情報掲載のお知らせ(R3.4.23)

 

PMDAメディナビ掲載内容概略

配信年月日R3.4.23

医薬品:オルミエント錠2mg、4mg

一般名:バリシチニブ

承認取得者:日本イーライリリー株式会社

審議結果報告書概要:酸素吸入を要するSARS_CoV_2による肺炎患者に対するレムデシビル(ベクルリー®)併用下における本品目の有効性は示され、認められたベネフィットを踏まえると安全性は許容可能と判断する。

効能又は効果(追加分のみ記載):既存治療で効果不十分な下記疾患

 SARS_CoV_2による肺炎(ただし、酸素吸入を要する患者に限る)

用法及び用量(追加分のみ記載):

SARS_CoV_2による肺炎>通常、成人にはレムデシビルとの併用においてバリシチニブとして4mgを1日1回経口投与する。なお、総投与期間は14日間までとする。

 

医薬品概要

一般名:バリシチニブ

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バリシチニブ

薬効分類:抗リウマチ薬(DMARDs)。ヤヌスキナーゼ(JAK1,JAK2)阻害薬、低分子化合物。

類似構造医薬品:トファシチニブクエン酸塩(ゼルヤンツ®)。JAK1,JAK2,JAK3阻害薬。

他:Tmax0.88時間、T1/26.39時間。本剤の主たる排泄経路は腎であり、P-gp、乳癌耐性蛋白(BCRP)、有機アニオントランスポーター(OAT)3、及びMATE蛋白2-Kトランスポーターの基質である。臨床試験(健康被験者)において、本剤40mgを単回投与したところ、投与の90%以上は24時間以内に排泄されることが示唆された。

第106回薬剤師国家試験 問151解説(理論問題:薬理)

第106回薬剤師国家試験 問151解説

 

問題文

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106回問151

解答

2,4

 

解答選択までの思考

丸暗記で行くのはなかなか苦痛なので、医薬品と紐付けて回答の選択を行うようにしています。その上で細胞膜貫通回数の暗記をすると、イオンチャネル内蔵型なら4~5回、Gタンパク質共役型なら7回、チロシンキナーゼ関連型なら1回です。

1:グリシンはバルビツール系の医薬品で思い出すタイプの受容体です。Clチャネル開口させるので、イオンチャネル内蔵型です。Gタンパク質共役型じゃないので誤り。

2:(?)後半細胞内にNa、Ca流入に関して移動の向きはあっているけど、保留します。

3:ニコチン性アセチルコリン受容体はそもそもイオンチャネル内蔵型受容体の話なのでGタンパク質は関係ないですね。誤り。

4:それはそうです。

5:AT1受容体はGqタンパク質共役型だから誤り。

 

追記事項

イオンチャネル受容体

イオンチャネル受容体はイオンの動きの向きでとにかくひっかけてくる印象です。

Na⁺,Ca2⁺イオン:細胞外→内(脱分極)

Clイオン:細胞外→内(過分極)

Kイオン:細胞内→外(過分極)

Gタンパク質共役型受容体

細胞膜7回貫通型、cAMPが上昇するか、低下するかのひっかけが多いです。

cAMPが上昇:心機能更新(β1)、平滑筋弛緩(β2)→Gs

cAMPが低下:心機能抑制(α2)→Gi

チロシンキナーゼ内蔵型

キーワードは「インスリン」、「EGF受容体」です。インスリンは糖尿病治療薬として、EGFRはがんの治療薬に絡むので押さえておくと実践問題で戦いやすいと思います。